クジラを探すためである🐳
グラグラ揺れる船内にいるよりも、
360度海が見えるトップデッキのほうが
開放的な気分になれる。
ただ、開放的になりすぎて、ここで服を脱いでしまう者もいるのだろうか。
東京出身という若い船員さんもクジラを探しにデッキに上がってきた。
「きょうはちょっと波が高いので難しそうです」とのこと。
「フェリーざまみ」は渡嘉敷島の沖を過ぎ
阿嘉島(あかじま)に近づく。
右が阿嘉島で、左が慶留間(げるま)島。
両島を阿嘉大橋がつなぐ。
そのとき、朝から空を覆っていた雲をかき分け、大きな太陽が顔を出し、青く澄んだ空へと劇的に変わった。
若い船員さんは言った。
「阿嘉島の海の青さはハンパないですよ。お客さんが歓声を上げるくらいです」
やがて青い海と白い砂が素晴らしいコントラストを描き始める。
まもなく、阿嘉島に到着する。
シカの絵が描かれている。
天然記念物のケラマジカだ。
クジラはもちろんだが、ケラマジカにも会いたいなぁ。
着岸の時は迫る。
ふ頭にもケラマジカとクジラが描かれている。
当初の計画では、我々は阿嘉島で下船し、青い海を心ゆくまでたんのうした後、午後便で那覇に戻ることになっていた。
だが、海上時化のためフェリーざまみは那覇~阿嘉島~座間味島~那覇の1便のみ運航となる。
きょう夕方に那覇空港から羽田に飛ぶ我々は、阿嘉島で下船してしまうと、その便に乗れない。
泣く泣く阿嘉島上陸をあきらめ、船上から眺めるにとどめたのだった。
フェリーざまみ、阿嘉島を離れる。
阿嘉島に別れを告げているうち、トップデッキには異変が起きていた。
首無し人間が❗
一瞬たじろいだが、落ち着いてみてみたら、まるで亀のように顔をすっぽりとジャージの中に入れているのであった(笑)
東京から南下してきた浪人にとって、沖縄は暖かく思えたのだが、地元の人たちにとっては肌寒く思えるのだろう。
そして慶良間の青い海と白いビーチが左手に広がり始める。
まるで楽園のような光景に、もう東京には戻れないな、と思う。
この3月末に発売されることになる『フェリーズ』15号に掲載された
金丸くんが行く 2016年東京🚢沖縄フェリーの旅
それは上記の一文で締めくくられている。
しかし、実際の旅には、まだ続きがある。
このあと、フェリーざまみは座間味島へ。
そして我々は、ついにクジラを目撃したのだ🐳
それは座間味港内にある、動かないクジラではあったが…。
船は座間味港へ。
沖縄独特の亀甲墓が見えた。
Sさんにとっても、そして浪人にとっても初めての座間味島。
その滞在時間は極めて短いものだった。
いったん下船したフェリーざまみ、すぐに出港する那覇への折り返し便に乗らねばならないからだ。
さらば、座間味島。
阿嘉島で顔を出した太陽は、その後照り続ける。
首無し人間になって浪人を驚かせた少年。
まるで亀が甲羅干しをするがごとく、首をジャージからだし、そのままデッキで寝そべっている。
14時20分。
定刻の20分遅れで、フェリーざまみは那覇に到着した。
こうして、東京から足かけ1週間にわたる沖縄への船旅は、幕を閉じた。
それから半年後の2016年7月中旬。
浪人は再び阿嘉島への旅に出た。
羽田から飛行機に乗って鹿児島へ。
鹿児島新港からマルエーフェリー「フェリー波之上」に初乗船し、まずは那覇を目指した。
天候不順で南国航路を満足には楽しめなかった浪人、梅雨が明けた時期を狙って同年二度目の沖縄への船旅を敢行したのだ。
狙いは当たった。
与論島や伊江水道の青い海を楽しむことができたのだ。
そして那覇到着の翌日、フェリーざまみで阿嘉島へ。
半年前にはならなかった阿嘉島への上陸を果たし、半日ほど滞在。
ケラマジカとの遭遇もでき、フェリーざまみ最後の乗船※で那覇に戻った。
※フェリーざまみは2016年10月下旬をもって、18年にもおよぶ那覇~阿嘉島~座間味島の航海を終えた。
同年11月1日からは新造船「フェリーざまみ3」が就航。(下画像は2021年11月撮影)
2016年7月のフェリー波之上による鹿児島~那覇の船旅の模様は
フェリー波之上で鹿児島→那覇リベンジ(全11話)
そして阿嘉島への船旅は
フェリーざまみでアカジマ・リベンジ(全3話)
で、たどれる。
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ここで、浪人脳内タイムスリップは終わる。
2026年1月24日、夕刻。
「ゆりかもめ」は間もなく終点・新橋に到着するところだった。
新橋で下車した浪人、暮れなずむ銀座へと急いだ。
<完>

